2007年10月20日

投稿/とあるカリー屋さんの戯言(1)〜一撃会・THE ROCK-MAN

とあるカリー屋さんの戯言

私、「地上最強のカリー」を目指します!

●カリーとカレーは別物です

カリー作りに秘伝はない。あるとするなら、日々修練! 日々研鑚あるのみの地味な作業…、これにつきるのです!
私は言いたい。
本当においしいものは、つらく厳しい日々の研鑚によって初めて作れるのだと。
私はカリー職人、カリー屋さんである。「カリー」と「カレー」を混同している人も多いようだが、私は日本式のカレーと比較されるのは好きではない。なぜなら「カリー」と「カレー」は別物だと考えているからだ。
今では「グルメブーム」と称して、ねこもしゃくしも、コギャルもおぎゃるも〜誰でも「グルメ通」を気取ることができる。親の脛をかじって、ニセブランド物に身を飾り、鼻にぬけるような話し方の輩に、「あたしドロドロ派!」「うちらシャバシャバ派!」などと、言われたくはない…なので、今後も私は「カリー」という言葉にこだわっていく。ここでも「カリー」と明記する。

●オニオンの日

カリー作りに出会ってはや18年…。1989年、高校入学と同時に極真会館に入門したので、ちょうど「カリー歴」と「極真空手歴」は同じになる。
最初は、もともとカリー職人だった叔父貴に借り出されアルバイトとして雇われた。それも決まって「オニオンの日」ばかり…。叔父貴からカリー作りの手ほどきを受けたことは一度もなく、私が任された主な仕事はオニオンをペースト状になるまでたたき続ける作業のみ。
カリー作りにはオニオンベースが欠かせない。大量のオニオンベースを作る作業は毎日おこなうのではなく、当時で大体週に2回から3回が平均だった。もちろん、素手で叩くのではなくて、それ専用の大きな棒を使って叩く。
この作業は、極真空手で言うところの「基本稽古」に相当するだろう。たかがオニオンと言えど、これがなにげにバカに出来ない。つらいつらい戦いなのです。

●オニオン潰しと極真空手

ダンボール箱につまった大量の玉ねぎを取り出して、1つひとつ皮を剥き千切りにする。千切りにしたオニオンを巨大な寸胴に一杯になるまで入れる。これがオニオンベース作りの最初の作業だ。これも意外とバカには出来ない。
なぜならオニオンが目を刺激するからだ。1つや2つならともかく、数百個の硫化アリルがようしゃなく私の目を襲うのだ。これはきつい…。
寸胴が全部オニオンで埋まったら、そこからが本当の勝負だ。
ガスをフル回転させて、一気にオニオンを叩く、巨大な寸胴一杯分のオニオンは強敵だ。なかなか潰れてくれはしない。最初は全く動いてはくれないが、30-40分ほどひたすら叩いていくうちに、わずかに動く…。だが、表面はわずかに動くがその下はまだ微動だにしない。
焦がすわけにはいかないし、投げ出したらそれこそ、その日の日当はパーになる。私も極真空手家のはしくれだ! 小指と薬指に力を入れ、フルパワーで猛ラッシュをかける。もう汗やら涙やらで顔中グシャグシャ状態だ。
1時間、2時間、3時間…ひたすら叩く。叩き続けるのです。かの松井章圭館長は、極真空手の荒行「100人組手」を達成した。私も末席とはいえ極真空手家のはしくれだ。こんなことで負けてはいられない。
巨大なオニオンといえど、たかだかたまねぎだろうが! 叩き始めてから約8時間後、その地味で過酷な作業によって、ようやくきれいなあめ色をしたオニオンペーストが出来上がった。
これが「カリーの種」になるのだ。カリーの種とはおいしいカリー作りの根幹を握る最も重要な基礎であります。
再び私は言いたい。
握り3年。叩き方3年。混ぜ方3年。あわせて9年…否10年やらないとカリーの門には立てないよ、と。カリー作りも極真空手と同じ、「石上十年」の精神が必要なのだ。
私は決してふざけているわけではない。私は本当にそう思っているのです。

●食事の王道は医食同源!

本来ならば、病気の予防や健康維持は、毎日の食事によってなされるものでなくてはならないと思います。それがどうだろうか! 現在の日本の食事情はどこかが狂ってないだろうか?
先日の「ミートホープ事件」でもありましたが、今の日本のファーストフードも含め、ファミレスを中心とした飲食業界はどうなっているのだろうか! 1人もプロの職人がいないところで、いったいどうやって食品を取り扱っていけるのだろうか?
化学食品添加物〜合成着色料や合成保存料、光沢料その他を乱用した化学合成品が人体へ与える影響を考えると、本当にぞっとしませんか? 学生アルバイトが作るファミレスの横行で、職人のいる老舗が潰れていく…。それで本当にいいのか!
医食同源。やはり、我々は今一度原点に返って見直すべきものは見直すべきではないだろうか。

●簡単スパイスの使い方

カリーの命ともいえる香辛料は、料理に混ぜるだけで「漢方薬」に変身する! だから、人間の健康維持のためにはとても便利なものだ。香辛料の効能について、以下に例をあげてみる。

コリアンダー/疲労回復、食欲増進、血行改善、鎮痛など。
クローブ/消化促進、健胃効果、口臭予防、防腐など。
ターメリック/皮膚病、二日酔い、抗酸化作用、高脂肪症など。
クミン/滋養強壮、腹痛鎮静など。
チリペッパー/肥満防止、風邪予防など。
カルダモン/鼻炎、頭痛、鎮静効果、芳香作用など。
ナツメグ/神経痛、関節炎、リュウマチ、吐き気など。
スターアニス/風邪、咳止め、新陳代謝活性など。
シナモン/抗菌、解熱、鎮痛、消化促進など。

とはいっても、スパイスの扱い方はとても奥が深くて難解だ。普段の生活のなかで使いこなすのはむずかしい。そこで、今度は日常での簡単なスパイスの使い方を紹介しよう。
ターメリックは、水またはウーロン茶250ccにパウダー小さじ1杯ほど入れて飲むとウコン茶になる。二日酔いに最適! またターメリックを肉ジャガなどに小さじ1杯ほど加えると、味に丸みとコクが出て、旨味が格段にアップします。
カルダモンやシナモンは、ミルクティーなどに入れると風味が増します。入れる際にはパウダーではなく、ホール(生)で入れることをオススメします。クローブやナツメグなどの強い香りを放つスパイスは、やはり重いステーキなどの肉料理に最適だ。加える際はほんのすこ〜しずつサーロインステーキなどにふりかけてみてください。香りが出て格段においしくなること間違いなし!
クミンはカリーに欠かせないスパイスのひとつ。そのほかにもチーズ、野菜炒めなどに加えてもOK。スターアニスは、中華料理のタレや、焼き豚との相性が抜群です。チリペッパーといえば、辛い物好きならカリーに限らず、うどんやラーメン、キムチなどに使われているのは有名。
コリアンダーは、東南アジア料理に多用される、俗にいうパクチーのこと。苦手だという人も少なくありませんが、慣れると病みつきになる香辛料。カリーでは主にホールを使いますが、普通の人が料理で使う場合は細かく刻んである瓶詰めのものをオススメする。これなら、ピザやパスタなどにふりかけるだけで、風味が増して味が格段に上がることうけあい!

●スパイスは「極辛カリー」になった!
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ここで私のお店の宣伝をするつもりはない。
ですが、私が尊敬してやまない小島一志大先生より、たびたびこのブログで紹介していただいたので、知っている方もいると思う。最近、私のお店のある人気カリーのことを巷では「極辛カリー」と呼んでいるそうだ。ちなみに「極辛」=「キョクシン」と読む。
間違いやすいので付け加えおくが、「極辛カレー」は偉大なる極真空手の大先輩・大沢昇師範が経営する大沢食堂の名物料理です。「極辛カリー」と「極辛カレー」は違います。間違われてしまうと、私は腹を切らなくてはならなくなる。
さて、私の店の「極辛カリー」だが。
辛さの成分は、やはり唐辛子(チリペッパー)からきてはいるが、実はあの猛烈な辛さの割に、使っている唐辛子の量は少ない。幾多のスパイス本来の辛味成分が相乗効果を生んで、絶妙の辛さが味覚を刺激するのである。オニオンで作った「カリーの種」、数種の野菜ベースの旨み、スパイスの辛さ…。これらを同時に味わえる限界点が我が「極辛カリー」なのだ。
この「極辛カリー」を食すると、あ〜ら不思議! 風邪が治ったり、二日酔いに効いたりする。これが本当に効く。そういう意味では、「極辛カリー」こそ、カリーの極み、否、医食同源の極みであると私は断言してやまない。

以上、散々偉そうなことを書きましたが…私、とあるカリー屋さんは、まだまだ一無名の弱小店舗です。でも、しつこいようだが私も極真空手家のはしくれだ。「極真魂」を持って頑張りさえすれば、いずれ絶対に…!
あっ! そうだった。
明日は「オニオンの日」だ。オニオンの日の前日は、いつも天国からの大山総裁の声を聞く。
「キミ〜やれるかねぇ」
「押忍!」


記/一撃倶楽部・範士&師範代 The ROCK-MAN


※小島より
The ROCK-MANさん、せっかくだからお店の宣伝しちゃおう。以下がお店のHPです。
http://www2.tcnet.ne.jp/tajmahal/

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